ED後
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だから僕のすべてでいればいいじゃないか。
何かに苦しむスレイを見るたびそう思った。何を悩む必要がある。何を救う必要がある。今すぐにでも帰ると言えば、僕はすぐさま君の手を引こう。だから、僕に一言くるしいと言えばいいじゃないか。
けれど、そう伝えようとは思わない。彼を諭すには僕は彼のことを知りすぎていた。きっとやめるとは言わない。むしろこんなことを言う僕に彼は調子を狂わせてしまう。だからただずっと傍にいた。彼の揺れるまつげを見つめていた。けっきょく彼は最後まで、やめたいとは言わなかった。

この何百年で、世界各地の遺跡を次々と回った。自分なりの考察もその都度行ってきた。遺跡というのは本当に奥が深くて、一度回った場所でも二度目に来れば違う発見があったりする。そのことを実感させられる旅だった。そして、何百年を使ってもまだすべての遺跡を回りきれていないという事実には本当に驚嘆させられる。まあ僕が生きているこの間にも新しい遺跡が誕生していたりもするから、当然といえば当然なのかもしれないが。
ずっと困っていることがある。あの日から、心に言いようもない寂しさが住み着いているのだ。