「僕のこと、ずっと介護してくれよ」


なあ、と猫なで声で兵部は僕にそう絡んでくる。上気した頬とすこし下がった眉、それとだらしなく緩んだ口はなんだかいつもの兵部よりもすこし雰囲気が違った。どうやら僕に甘えているらしい。僕の膝に頭を乗せてこっちを見上げてくる兵部は、首を撫でればごろごろという音でも聞こえてきそうなものだった。深淵に染められた瞳が、ちいさく熱を持っているのがわかる。いつもにやにやといやらしい笑みを浮かべて僕をからかいにくる兵部よりは今のほうがいいかもしれないけれど、これはこれでひどく調子が狂うなあ、と思った。


「なんだよそれ」
「いやあ、年寄り流のプロポーズってやつ?」
「ぷ、プロポーズって…」