「目が焼けそうだ」

足立さんはそう言って、俺を哀れむような目で見つめた。俺はなんだかひどく悲しかったが、それと同時に、残酷なほど嬉しかった。ああ、彼が俺を眩しそうな目で見つめている。

光を纏う病気にかかっていると医者に診断されたのは、夏のことだった。あなたは見る者すべての目を眩ますほどの異常な光を発していると、大病院の医者は言った。前例はもちろん、ない。世界で唯一俺だけが発症している奇病なんだそうだ。診断結果が読み続けられる間に俺は、ああ、だからみんな最近俺を眩しそうに見るのか、とやけに冷静に普段を振り返っていた。陽介も千枝も雪子も完二もりせも直斗も叔父さんも菜々子も、みんなみんな、俺を見て目を細める。俺がとても眩しいのだという。眩しそうなみんなを見ているうちに俺はすこしいい気分になんてなってしまって、こんな大勢の目を眩ますことができる自分はもしかしたらとんでもない存在なのではないかと勝手に過信してしまった。嬉しくて楽しくて、自分が眩しくない人など世界には誰もいないのだろうと心から思う日もあった。けれど、俺を眩しくないという人はすぐ身近に現れた。それが足立さんだ。足立さんは俺を視界に入れようが何をしようが、ふうんそれで、と言いたげな目をしてみせた。お前なんか眩しくもなんともないただのガキだと、彼の目は語った。ああ、俺は憤怒し、焦燥した。あのひとは俺をちゃんと見てしまうのかと。

即興二次小説に挑戦したものの寝落ちしてリタイアしたやつ
お題は「光の病気」でした