「足立さん起きてください!足立さん!世界が終わったんですよ!」

ついに!と叫ぶクソガキの声が俺の耳をひたひたと犯す。少しだけ開いた目の先はまだぼんやりとまとまらない実体たちを映して、もやに紛れたクソガキの顔が笑っているのか泣いているのかもよくわからなかった。揺さぶられる体はまだけだるいままで、毎朝の虚しさばかり帯びた痛みの一部としていつもどおりそこに存在している。あんまりにも奴がその存在の在処を証明してくるので、やめろという一言をため息代わりに口から漏らせばクソガキはああごめんなさいと申し訳なさげに謝りそれをやめた。だが俺から手は離さない。ゆっくりと目を擦りもやを払ってから、俺は改めて奴の肩越しに世界を見やった。