あなたに好きって言ったらね、僕は今すぐ殺したいほど君のことを想ってるよ、なんて返されて。それもいいかもしれないけれど、俺が定めたゴールは「僕もだよ」っていうシンプルな一言だったから、ああまた失敗しちゃったんだなって思った。だから俺はすぐさまビルから飛び降りてリセットを謀ったわけだけどね、そのときのあなたの顔ったらたまんなくかわいかったなあ。ざまあみろ、と、嘘だろ、って。あなたは半分半分でそう思っていたんでしょう?わかりますよ、何年見てきたとおもってるんだ。
4月、また振り出しに舞い戻った俺は、いつもとなにも変わりない里中たちの話を聞きながらあの場所を目指した。まだかまだかと待ち望みながら。そうしていつもどおりに彼が視界に入る。相変わらず自身をぶちまけるあのひとは人間らしくてとてもすてきだった。彼は吐くときだけ人間に戻る。それ以外はなにか得体の知れない生き物のようだ、彼が人間らしく暮らしているつもりでもね。最初っから違和感だらけだったもの。今すぐ声をかけて愛を並べ立てたい衝動に駆られたけれど、そこはぐっとこらえてひとつのイベントを素知らぬ顔で通り過ぎる。だってここじゃふたりっきりになれないから。確実にふたりになるときまでおあずけを自分に強いた。