「ユキだいすき」

ハルを好きになって数ヶ月、ついになにもかも我慢できなくなった俺はハルを押し倒して愛撫して好きだとかなんとか言いまくりながら俺のまだ知らなかったハルを強引に知った。どうしたのって不思議そうに首を傾げたハルはだんだんと不安そうに眉を下げてなにするのって言って、それでも俺はお構いなしにハルの首筋とふとももにキスマークをつけた。やだ、とは言わなかったけどハルは涙を流していたし、ああもうだめなんだな、友達としての俺たちは終わっちゃって、もう一緒に暮らすこともできなくなるかもなあなんて、俺は心の隅で嗚咽を漏らしながらしくしくと水たまりを形成していたのに。白く染まる空たちの淡い色を浴びたハルは、俺にこう口を開いたのだ。だいすきって。ばか、俺はおまえに正反対のことをしたのに、何も知らないおまえを自分勝手に傷つけてしまっただけなのに。痛いっておまえ言ったじゃないか。こわいって、きれいなおまえの瞳はそう語っていたじゃないか。なのに額にべったり汗を浮かべたハルは、なによりもかわいく俺に微笑むのだ。幸せそうにさえ見えてきて、俺の口は自然と動いていた。やめろよ、って。しかしハルは、ぽかんとした顔でなんでと問うのだった。大嫌いって言えばいいじゃないか、こんなにもひどいことをした俺を許さなければいいんだ。なあハル、俺はおまえに責められたいよ。でもおまえは俺を好きって言う。だから俺は、これ以上ないってくらい嬉しくて、そして悲しかった。ぼろぼろと情けないほど涙が出る。ハルの目元に落ちたそれはさっきまでハルが作っていた涙の道筋をたどって、ゆるりとしろい頬を撫でていた。ほんとうは、それがきっと正しい姿だ。俺を嫌悪して泣くハルこそ、いま俺が見るべきハルなのに。

「ごめん」
「? ユキ、なんで謝る?」

ぱちくりと目を瞬かせるハルが俺はかわいくて仕方がなかった。ああ、明日になれば俺はおまえを想って自慰に耽る日々へと帰るよ。


オナニーマスター真田