あああ、独りよがりだ、僕はずっとひとりっきりで泣いている。ぼろぼろと流れる涙をそっと拭って自らを慰め続けているのだ!
僕は神様に恋を、いいや変をしている。天に住む彼が地上に舞い降りた事実を嬉々として受け入れ、そして彼のすべてに地中を思わせるほど薄暗く湿りきった想いを抱き続けてきた。彼の手も足も目も鼻も口も耳も何もかもが好き、本当に全部すべてね?けれどもこれは愛ではないのだ、だって彼に相対するときに用意しなければならない愛はもっと純真で清潔で無償のもの。対する僕のこの想いは完全なるひとりセックス、いわば1Pだ。対戦ゲームをひとりで繰り返しずっとずうっとプレイしている。彼を想っていなくなった白は数知れず、ちいさな命のかけらはその海の中で何匹も死んでいた。否、僕が自主的に殺していた。そうしてその殺生を働いた手でね、彼と握手をするんだ。するとほら、彼の手のひらに擦りついたいのちが幸せそうに笑っているではないか。そのまま彼の体内に侵入して彼の人為的な愛の生産地に辿り着けばいいのに。それかもう孕ませてしまえ、彼という個体に僕の生命を。だなんて言ってもそんなことになるはずもなく彼は笑顔のまま去っていってしまうのだった。つまならない、けれどよかった。矛盾する心が僕をがんじがらめに縛り付けてとんでもなく体が軋んだ。ああすこし気持ちがいいからもっと痛くしてくれてもいいよ。と今度はひとりSMを嗜む始末である。僕は僕が気持ち悪いのだ。こんな不純物が神に触れて許されるはずがあろうか、いやない。握手した手にじっとりべっとりと汗が滲んだ。おそろしい、彼に触れた僕の手はいま浄化されて溶け始めているのではないだろうか。そうあっても仕方がない。だって僕は毎朝毎晩彼を想って宇宙へ旅立ち流星群を眺めては美しいけれどこれだけではつまらないなと呟いて惑星の大爆発を心から望み始めるのだ。美しすぎるものを人間は敬遠する。僕は人間だから、美しすぎる彼を敬遠する。果たしてその思考は理にかなっているか?世界の美しい部分だけが凝縮されたようなあの瞳を真正面から捉えても口にできる台詞か?それが驚いたことに、僕はきっとできる。いとも容易くできてしまうだろう。もう僕の独りよがりはそれぐらいまでの境地に達していた。ああああ、あああ!だめだ、彼は僕と関わってはならない。僕のほうから彼を遠ざけなければならない。でもそんなこと、できると思うか、できるわけがないだろう。もうだめだ彼が僕のもとに現れないことを祈る他ないんだ、お願いです来ないでくださいスカイハイさんお願いだからもう僕のような不純物に関わらないでくださ「やあ折紙くん!」