鎖骨をちろちろと舐めつつ彼の腰をそうっと撫でる。いやらしいニュアンスを含んでいることがわかるようにゆっくりと。でも頭上から降り積もる声はくすぐってえ、とかそんなものばかり。僕はなんだかすこし腹が立った。確かに僕は経験不足で、アルヴィンを満足させる技術も技量も何もない。けどさ、けど、あれ、けどなんだっていうんだ。わからないけど要するに僕は悔しかったのだった。ふふふと唇の隙間から笑みを零す彼を前にして、僕ばっかりどきどきして、僕ばっかり頑張ってるのかなあと考える。大人の余裕しか今の彼には見出せないのが、子供の僕にはすっごく悲しかった。もっと慌ててよ、焦ってよ、僕が好きだって言って、とじりじり渦巻くこれを人は愛情って言うのかな。もしそうだとすれば愛ってなんて身勝手なものなんだろう。きれいでもなんでもないじゃない。

「ふ、はは、やめろ、って」
「やだ」