目の前が弾けるような感覚に襲われた。ほどよく回っていた酔いさえ吹っ飛んでしまうほど強烈な閃光が瞬く。店内の照明がやけに眩しく思えて、ふと目を細めた。晒すようであり秘めるようでもある指先がライダースジャケットに皺を作る。情けなく固まってしまっている自分が心底情けなくてみっともない。先程まで身近に感じていた喧騒が、こんなにも遠くなる、なんて。

「バーナビーくん、どうかしたのかい?」
「え、あ、いえ、ちょっと酔ってしまったみたいで」

ぼうっとしている僕を気にかけるような言葉が四方からちらほらと降ってきた。慌てて口角をつり上げて取り繕う。その間も彼の手のひらは僕の腕をそっと捕らえていた。直接肌に触れられているわけでもないのに、その箇所がやけに熱い。ちょうど視線の斜め下で上機嫌にワイングラスを傾ける彼の褐色の肌は、りんごのような赤さに染まっていた。とろけたような瞳と艶やかに濡れた唇は目に毒でしかない。