惰眠を貪るいとおしさを僕は生まれて初めて知った。真横で寝息を立てる彼に教えられたそれは、とてもとても気持ちがよくて少し困るほどだ。僕の家、割と広めのリビングの床に投げ出されたふたつの体躯は夢の中へ船を進めることをやめようとはしない。ふたりで共用しているシーツを奪ったり奪われたりしている間に、壁時計が示す時刻は午後2時35分を回っていた。ふたりして微睡みだしたのは確か1時頃だったはず。ああもう1時間半も昼寝してしまったのか。普段ならとんだ失態だと頭を抱えるような現実だ。