熱を含んだ吐息が首筋にかかる。くすぐったいと思っている間に吐息は感触へと変わった。まるで吸血鬼みたいに、バニーは俺の首にがぶがぶと噛みついている。噛むだけじゃなくたまに舐めたり触ったりしてきて、ああなんというかもどかしい。そうしている内にもバニーの右手は忙しなく動いていて、やけにゆっくりと腰をなぞる手つきに欲情が持て余される。バニーの唇は場所を移動し、今度は俺の唇に狙いを定めた。深く口付けられ、すぐさま長い舌が侵入してくる。そうしてしばらくの間口内をぐちゃぐちゃにかき回された。さすがに息が続かなくなりバニーの背中をバンバンと叩いて救助サインを出すと、見るからに名残惜しそうな顔をして口を離される。二人を繋ぐように引いた唾液の糸がてらてらと光っていたことが、えらく印象に残った。

「バニー、ちゃん」
「なん、ですか」
「あんま、焦りなさんな」

最初からこんながっつかれたらおじさんこの先保たねーわ、と途切れ途切れに告げる。するとバニーは眉をめいっぱい下げて、頬をかああ、と紅潮させた。りんごのような顔のまま、そんなの、と唇の形が言葉を辿る。

「虎徹さんが目の前にいるのに、そんなの、むりです」

焦るななんて、無理に決まってます。と、バニーは繰り返す。


ぶっちゃけおじさんに「焦りなさんな」って言わせたかっただけですねはい