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小ネタ詰め

・ヒプマイ


人の金で上海蟹を食らう男の、何の後ろめたさも感じられない瞳を羨ましいと思った。「どこに行きます?それを食べ終わったら」彼は賭場の人間、小生は編集者に追われている。持ち金は少ないので行ける所など限られている。「幻太郎の行きてーとこ行こうぜ」なぜこの男はこんなにも楽しそうなのか謎だ。
(帝幻)

「お前セックスしたことねえだろ」何杯目かの酒をグラスに注ぎながら左馬刻さんがそう呟いた。氷も溶けきってぬるいだろうそれは濡れたグラスの中で不味そうに泳ぐ。「なんすか急に」「顔と態度が童貞丸出しなんだよ。女の一人ぐらいさっさと抱いとけ」「……べつに今そういうの興味ねえんで」「ハ!スカしてんじゃねえぞガキんちょ」笑いながらタバコの煙を吹きかけてくる左馬刻さんはいやに機嫌がいい。マジで興味ないんすよ、と返すとその目は楽しげに細められた。伏せられた睫毛はあんまりにも長い。
(一左馬)


・TOX2

「クラウディア?」朝日を受ける俺を彼女と見間違えたんだろうか、兄さんはずいぶん怯えた目をして俺を見た。直後すぐ、すまないすまないと謝りだす。「俺を殺しに来たのか。そうなんだな。ああ、そうだな、それだけのことを俺はした。だが、待ってくれ、まだ死ねないんだ。俺にはあの子がいるんだ」「兄さん、違うよ」「あの子はまだ小さいんだ、お前も知ってるとおり。俺が守らないといけない。償いならいくらでもする、だから俺に時間をくれ。どうか今だけ俺を許してくれ」壊れた機械のように兄は許しを欲し続ける。ああ、なんか赤ん坊みたいだな、ここ最近の兄さん。……ちょっと可愛い。
(ユリルド)

兄さんあの星いつ落ちるのかな、と弟が指さした先に赤い胎児が浮いている。朝が来る頃にはきっと落ちてるさ、と言ったら安心したように目元を和らげた。可愛い俺のルドガー。星が怖いのだ、きっと。ならば俺が落としてやろう。見たくないものは見なくてもいいんだ。世界はお前のものなのだから。
(ユリルド)

ジュード・マティスという同僚がいけ好かない。いきなりオリジン開発に加わった思えばどんどん結果を出していき、周囲からの期待や信頼をいつの間にか手にしていた。「〇〇さんの説明、すごくわかりやすいです」しかもこうして先輩に媚まで売りやがる。……さらに、顔が可愛い。そんな目で俺を見るな。
(モブとジュード)


・LiS

まただ。俺の目の前に俺の知らないマックスがいる。今の君も素敵だけど、その目を見ると不安でたまらなくなる。君は俺のことを見ているのか?ここにいる俺は、本当に君にとっての俺でいられているのか。訳のわからないことばかり考えるのは昨日観返した映画のせいだろう。……最後二人は他人になった。
(ウォーマク)

「……つまりあの懐中時計はそれこそ時計仕掛けの神だったんだと思う。神にしては結末を悲惨にしていったけどね。信徒を地獄に落とす神だ、祈り甲斐も充分」泣けるなんて言うわりに映画のメタ部分をしっかり皮肉るところはなかなかのオタク気質だと思う。そういう話は嫌いじゃないけど。
(ウォーマク)

マクシーン・Cの眼窩に嵌っている球体の名は"可能性"だ。彼女の写真は日常という数式を感情に変換していて、そこでは現実と空想の融合が淡く可視化されている。「マックスの写真って凄くいいよな」「お世辞はいいよ」「お世辞じゃないって。何かこう、日常なのにSFっぽい。多次元を感じる」「何それ」
(ウォーマク)

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