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小ネタ詰め

・TOX2(ユリルド)

「昔、家に家政婦がいたのですが」「とても美しい女性でした。料理が上手く、控えめで、しかし気丈な人だった」あなたによく似ている、そう呟くと兄さんは俺を真っすぐに見つめてきた。さすがに見過ごせないほどの熱量で「あなたが欲しい」と伝えられている。

「紐を通して着る服なのですけど、一人ではうまく脱げなくて。手伝っていただけませんか」そう言って女は俺に背中を向けた。こんなに明朗とした女だっただろうか、記憶が曖昧だ。紐を外し服を脱がすと、女の腹には傷があった。…あの日俺が刺した箇所だ。「何を見ていらっしゃるんです?ユリウス様」
「また自殺したのか」「…昨日の夜また『ルドガー』を探し始めた。何とか寝かしつけたが、朝起きたらこうなっていた」液体窒素の煙が細々と瓶から立ち昇っている。生者の色をなくした肌に嵌め込まれた瞳が俺を見る。焦点は勿論合わない。「近頃ますます人間に近づいているな。危険な兆候だ」「…ああ」
(惑星ソラリスパロ)

「お前はガラスの家に住む勇気なんてないだろう」そう言ったら目の前の弟はただでさえ丸い瞳をより丸めて俺を見た。その後すぐに、子供のような顔で笑う。そうして緑の目を細めて笑うのだ。笑顔が母親によく似ている。俺にはきっとかけらも似ていない。それだけは救いだと思った。「カーテンがあるよ」
(シングルマンパロ)

あの女か、あの女はな、俺が殺した、どうした、なぜ怯える?なぜ逃げようとする?大丈夫だ、あの日のおかげだ、あれのおかげで俺たちはこうしていられるんだ、大丈夫だ、…なぜ振り返る、大丈夫だ、俺たちは自由だ、あの男もじきに殺してやる、大丈夫だ、振り返るな、俺の愛しいルドガー、大丈夫だ…
「すみません、私は 今まで格好つけていただけなんです。本当はこうして自分の意思で女性にアプローチをしたことがありません。不快でしたらどうかはっきりとそう言ってください」そう口にしたあと、兄さんは眉を下げて俺を見た。初めて出会ったときのルルのような顔をしている。…なあ、ずるくないか?


・ロボノ

「愛理ちゃん?なんでいるの」「ああ、そう」「優しいね」もうアキちゃんもミサ姉も君島コウもみんないなくなってしまった。地球に戻る意味なんてほぼないのかもしれないけど、それでもあそこには俺のすべてがある。「他のところに行ってもいいんだよ」「ばかだなあ」
(ウラシマ効果八汐)

「海翔くんおかえりなさい。今は西暦何年だと思います?なんと2119年です。海翔くんはウラシマ効果に巻き込まれてしまったんですよ。私はAIです。天王寺綯はもうとっくの昔に死んでます」「…あのね綯さん。今俺がいるとこ、壁にカレンダー貼られてるんだよね。設定雑だし」「あ、バレちゃいました?」
(海綯)

個人レッスンなんて言うから何されるのかと思ったら宇宙についてのお勉強会を開いてくれるだけらしい。…いや、変な期待はしてなかったけどね、勿論。「恒星が重力崩壊すると超新星爆発が起こるんです。そして中性子星になったとき、その質量が太陽の30倍以上あるとまた重力崩壊が進行します。そうして最後はブラックホールになるんですよ〜」 「へー。綯さんみたいだね」「それって褒めてます?」「褒めてますよ」
(海綯)


・FF15

「兄さんとはあんまりノクトの思い出話しないの。こうやってノクトの話するのはほんとに久々。私ね、ノクトのこと好きだったよ。たまにそのこと思い出したいの。どこを好きだと思ってたか、どういうとこが素敵だったか一生覚えてたいの。…わかってくれる?」わかるさ。……わからないものか。
(イグニスとイリス)

「オレは最後まで」言わずにすべては終わった。さえぎられた言葉は火の内に粉として消えた。見えたのだ、かんぺきな暗闇に確かに浮かぶ明かりが。
(ノクトとイグニス)

覚えているか?3歳のお前はオレの手を両のそれで、小さくてあたたかいふたつの手で握ったんだ。そのあと笑った。握られた手からはまぶしい光が産まれて、もうどれだけ夜が来ても消えることのない明かりがオレの体の中に灯った。不思議だと思った。魔法だと思った。生まれ落ちた意味と実感が、意識の裏側で透明に輝いた。
(ノクトとイグニス)
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