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小ネタ詰め

・大逆転

「亜双義。実はぼく、お嫁さんを迎えてさ」「子供が産まれたんだ!元気な男の子だ」「孫というのは本当に可愛いものだな。目に入れても痛くないよ」何とも退屈のしない人生だった。キサマもそうは思わないか!互いの子も孫も見せ合い笑いあったな。童の手を撫ぜる嗄れた手を無性に愛おしく感じていた。
(龍アソ)

キサマが笑うたびにどこか、遠い場所へ行きたいと思う、疲れているのだろうか。何故この男は些細なことをこうも楽しげに話すのか。どう世界を見ているのか。空を水を血を、果たして何色だと形容するのか。成歩堂という男から目が離せなくなるのにそう時間は掛からなかった。「亜双義、ほら、入道雲」
(龍アソ)

朝起きると隣に親友の姿がある。亜双義は静かに目を閉じていた。船で過ごした日々でもたまに行った旅行でも、コイツより早く起きたことなんて一度もない。何となくその口元に手をかざすと寝息がぼくの手のひらに当たった。眉間に皺が寄り目尻がかすかにひくつく様をどこか不思議な気持ちで見ている。
「いつ帰るんだ?」「三日後の朝だ」味噌汁を飲みながら亜双義がそう答える。三日後、と鸚鵡返しをしながらぼくは魚の骨を解した。細かい骨が多くて苦労する。亜双義の皿を見ると、綺麗に取り除かれた白い曲線が顔のようにそこに並んでいた。当たり前だけどもう食事は半分ずつにはしていない。
たまに現れる「間」のようなものを感じているのは果たしてぼくだけなのか、それともコイツもなのか。分からないけれど、その間は大切なものだということは分かる。十ヶ月かけて生まれたそれをぼくはこれから何年もかけて解きほぐしていくのだろう。きっとすこやかで丁寧であたたかい時間になる。
(書きたいとこだけ書いた龍アソ)

「美味しいものを食べたり綺麗な景色を見るたびおまえの顔が頭をよぎって、嬉しくても悲しくても情けなくても満足してもおまえがぼくに笑いかけてくる、そういう時期がぼくには確かにあったんだ。十ヶ月、おまえのことばかり考えて過ごした。……そしてそれが今、ぼくの糧になっている」「……キサマのその十ヶ月がオレの十年の意味を変えたのだ」
(龍アソ)

「おとうさま!」頭上から愛娘の弾んだ声がする。急に反転した景色は先刻まで床を見ていた私に天井を見せていた。床が柔らかくて良かった。安堵しつつどうしましたかと返す。「武道の先生に技を教わったのでございま…って、きゃああッ!申し訳ございません!急くあまり、つい!」「"つい"ですか…」
(御琴羽家)

「ミコトバ、今幸せかい?」すぐ傍で銃弾が飛び交っている状況でホームズが私にそう問いかけてきた。発砲音と破裂音が続々と鼓膜に押し入る。「何ですか、こんな時に」生死に関わる状況なのだぞ、という意を視線に込めたつもりだったが、ホームズはその視線を捩じ伏せてきた。「こんな時だからこそだ」
(ホームズとミコトバ/ガイリチ版ホームズパロ)


・TOX2

「兄さん、そろそろ違う所に行こうか」そう言って俺の手を引く弟のそれにはたくさんの傷痕が残っていた。俺の手はただ真っ黒で傷も火傷も何も分からない。「どこに行こうか」「お前はどこへ行きたい?」どこでもいいよと笑うルドガーの目尻に皺が寄る。幸せそうなふりをすることに慣れさせてしまった。
(ユリルド/宇宙人の引っ越し)

「エル、旅行に行こうか」パパはけっこうトッピョーシもない。急にエルを連れ出して旅行に行くことがある。旅行はいつも楽しいけど、帰り道でパパはいつも泣く。「また駄目だった」「どうして決心がつかない」「エル、楽しかったかい?」うん、って言うとパパは笑うよ。…あれ?ルドガー、へんなカオ!
(エルとパパ)

「ジュードは…………このまま研究費がうまく集まらなかったらどうするんだ……?」「うーん…枕ですねー」「お金なら!!いくらでも出すから!!!それだけはやめよう!!!???」「わぁーっ、いいんですかぁ!?」
(オムレツ分史ジュルド)

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