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龍アソ(大逆転)

火の粉の中で前を見据える男は救世主ではなかった。だが、誰よりも目映く輝いていた。いちいちオレに振り返らないまるく大きな瞳をどうしてこうも美しいと感じてしまうのか分からない。
母は父の後を追うように物言わぬ骨と成った。生前の姿からは想像もつかないほど硬く冷えた体を焼かれ、次に会うときには白い欠片へと姿を変えていた。箸で掴む欠片はあまりに軽く、母はもっと大きく重く暖かったはずだと胸の奥で叫んだ。
だが、今のこの炎はどうだろうか。獰猛で荒々しく、しかしすべてを溶かすほど熱く騒がしく燃えている。橙と赤と青と紫に揺れるそれの中で成歩堂は額に汗を浮かべながらも決して目を閉じない。炎から逃れようとはしていなかった。火は熱い。そんな当たり前のことを思い出したオレは、じっと男の炎を見つめていた。十年間がごうごうと燃え上がりながらオレの生を見つめ返してくる。
「亜双義の名は、……オレは、十年」
「此れに焼かれる為に」
「………」
すべての言葉は灰と消えた。法廷という場でありながらも、今この瞬間、言葉はただ無力に真実を眺めていた。



火宅カムバック男すき
母上のお骨を拾骨する亜双義がめちゃくちゃ見たい
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