・大逆裁(龍アソ)


同じ学部の男と問答を繰り広げつつ廊下を歩いていると、同じく同学部らしき男と話し込む成歩堂とすれ違った。目が合い、互いに立ち止まる。「おい、明日」「英語学だっけ」「遅れるなよ」成歩堂が頷いた事を確認し歩を進める。後ろから話し声が聞こえた。「お前亜双義と仲良いのか」「はは。意外だろ」

「やあ君、何処の学部の者かね」やたらに聞き覚えのある声を後ろから浴び、振り向けば其処には学生帽をきちんと被って此方を見やる友の姿があった。そのやけに愉しげな笑みにつられてしまう。「おお、亜双義君じゃあないか、キミ」「ほう、私をご存知で?」「キミを知らない輩など此処にいるものか」
(ホモの茶番)

「この男、貰っていくぞ」亜双義は呟くようにそう告げると僕と談笑していた成歩堂の腕を引っ張りそのまま何処かへと消えてしまった。うおお、という成歩堂の悲痛な声が彼方へと消えていく。二人は仲が良いと聞くので大丈夫だとは思うのだが、それにしても亜双義は何故去り際に僕を睨んだのだろうか。

「亜双義、おまえは元気か?」「…あっはっは!」ぼくの問いを訊いた亜双義は弾けるように大きな笑い声をあげた。相変わらず爽やかな笑顔である。何がそんなに可笑しいのかと困惑していると、背中から畳に倒れて尚笑い続ける亜双義が絞り出すように言った。「霊にその質問とは、はは、正気かキサマ!」
(母と暮せばパロ)

「亜双義、それじゃあぼくはもう未来永劫、おまえと共にいられるのか」「ああ、そうだ」「嬉しい、嬉しいよ、ああ、ようやく……」「さあ、オレの手をしっかりと掴め」
(母と暮せばパロ2)


・その他

話が終わると博士は私に手を振ってゆっくりと違うところに歩いていった。私は赤くなった自分の顔を風で冷やしながら、「ようりつ」の意味をこっそりロトムに訊いた。あの人の言うことの意味をすこしでもわかっていたかった。
(ポケモンSM/ミヅクク)

「このマラサダは一人で食べちゃったけどさー、残りはポケモンと食べるんだー」「一緒に食べたほうが美味しいしねー!」さっきそう言って笑ってたハウも今は疲れたのか私の肩にもたれて眠っている。窓の外で光るたくさんの灯りは海の上でにじんでぐにゃぐにゃになっていた。ハウが寝ながら笑っている。
(ポケモンSM/主人公♀とハウ)

デートみたいだね、と言いかけてやめた。僕らしくない言葉だと思ったからだ。ルドガーはキジル海瀑の景色を見渡しながら手のひらを陽にかざす。「なあ」「ん?」「デートみたいだな」反射的に振り返れば彼はいたずらっ子のように笑っている。ああエルに似てるな、と思いかけたところでかぶりを振った。
(TOX2/ジュルド)


「なあ、今まで散々もしも話ってやつされてきて、うんざりだと思うけどよ。最後に一個だけさせてくれ。もしも俺がお前の兄貴だったら、絶対早いうちにやってられっかっつってどっか遠くに逃げてたよ、お前連れて。それでお前とてきとうなことして笑って暮らすんだ。そういう世界はさ、……なかったなあ」
(TOX2/アルルド)