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主足(P4)

朝起きたら俺はアルパカになっていたが、さて夢の中で眠るにはどうしたらいい?朝特有の体の怠さは残るものの目はばっちりと冴えちまっていたし、あと重大な問題は、どうやって寝転がればいいのかわからないことである。困った。人間のときと同じような体の動きが出来ない。俺は今アルパカだった。心を取り繕う暇もないほど、ただただアルパカだった。
「……足立さん、何ですかその身なりは」
と、背後から声。振り向くと、そこにはクソガキの姿があった。何故俺の部屋にいるのか?そんな大きな疑問すら聞く気にはなれない。驚くことばかりだ、朝から。
「どうしてそんな姿に?」
「いや、知らないけど。起きたらこうだったし」
言ったあと、不法侵入者も俺も驚いた。喋れるのかよ。なんなんだこの粗末な夢は。
「喋れるんですね。ああ、良かった。……でも困りましたね」
「何が」
「喋れるアルパカなんて、この先生きづらいですよ。奇特な存在すぎて」
「……なんでこの姿のまま生きてかなきゃならないわけ。戻るか死ぬかするよ」
「本当ですか?」
「本当だよ」
「ひとりじゃ死ねないくせに?」
クソガキは気の毒そうに微笑んだ。何だ?不愉快だ。何が言いたいのかがまったくわからない。
「結局どんな生命体になったとしても、あなたはいつも生きづらいんでしょうね。でも自分では死ねない。だから俺がいるんです」
「なんなの?君、僕に何を言いたいわけ。ていうか、今更だけど何でうちにいるの」
「あなたを殺しにきました」
そうしてクソガキは可哀想なものでも見る目をしながら刀を引き抜いた。俺は枕元の銃を手に取ろうとする。が、俺は今どうしようもないくらいにアルパカだった。手が上がらないのだ。
おわり。


お題「難しいアルパカ」でした……
た、楽しい
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