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ぼくに対して鋭利な牙をちらつかせる男の存在が脳裏に憧れのようにこびりついている。そいつは赦しとも贖罪ともからかいともつかない笑みを浮かべて、成歩堂、とぼくを呼ぶのだった。名を呼ばれるたび、牙がいっそうあやしく光る。ぼくの胸の中心はそのたびすうすうと風を吹かせた。いつか食い破られるのだろうか、ぼくの心臓は。白く鋭い牙を研ぐおまえという全てに、見るも無惨な姿に変えられてしまうのだろうか。そう思って見ていたけれど、親友の発した言葉を聞くと、ぼくの考えが見当違いだということが分かった。分かってしまった。