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龍アソ(大逆裁)

祭壇に立つ男の姿を目にして、神の御前にあるかのような気持ちをおぼえる。おそらくオレは今、気が狂っている。頭の中がばらばらと散らばって、なんの纏まりも産み出さず雑然としたままに此処にある。どうすることも出来ない。祈る想いばかり抱き、焦燥する。焦がれて焼け焦げる。燃え尽き灰になり骨も残らず、痕跡すらも消し去られる。オレを燃やすのはこの海をたゆたう瞳か。もえる水、嗚呼。
(この気の狂いは、一体何だ?)
果たしてこの空想の暴走にどういう意味が含まれているというのか。思考の檻を抜け出し、ゆっくりと目を伏せる。

通俗小説を読み終え、ぱたりとその世界を閉じた。ずいぶん情熱的なものだった。恋い焦がれ請い焦がれ、最早たった一人の人間しか望まないという激情。愛情を裏返した先にある狂気。そういったものに人々は共感を示す。これが通俗、世俗だ。安堵か疲労か、嘆息が洩れ出る。まさかここまで頭を使うものだとは思わなかった。法律全書でも読んでいた方がよほど心が安らぐ。眉間の皺を軽く揉み、目を強く瞑った。そこで読んでいるあいだ脳裏にこびりついて離れなかった男の存在をより深く実感する。折角だ、ヤツにも貸し付けてやろうか。ヤツなら果たしてどういう感想を持ち出すのか、どこに印象を刻むのか、興味がある。考えていると自然に口元が緩んだ。

十字架に磔にされた男の姿を目にして、神の御前にあるかのような気持ちをおぼえる。気が狂っていた。机に叩きつけられた手のひらも真っ直ぐに伸びる人差し指も、何もかもが炎を宿している。その瞳の奥に存在していた海さえすべて蒸発し、すべからく冴え渡っていた。指先から燃え尽くされ灰になる。骨も残らず、痕跡すらも消し去られる。もえる意志、うつくしき青い炎。嗚呼、この気の狂い、これが恋か。


超楽しかったけど読み返したらまったく意味わからんかったやつ
亜双義を燃やそう(提案)という話です 話でした
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