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スレミク(TOZ)

じゃあいなくなってしまおう。苦しんだ君と罰を受けるべき僕を隠す世界にでも行こう。きっとどこかにあるさ。怯えなくていい。
スレイの肩に触れながらそう諭すと、スレイは白を翻して歩き始めた。肩にあった手が離されてしまう。寂しいが、しかしこれで正解だ。きっと大丈夫。
かくして僕らの旅は始まった。最終目標はない。そんなものだ。一生なんてそれでじゅうぶんだ。
「風が冷たいな」
「ああ」
「火がほしいくらい寒い」
「ああ」
「いっそ土にかえれないかな」
「ああ」
問題ない。始まったばかりだ。不安に思うこともあるだろう。世界に見切りをつけて足を前に進ませた。ついでに輪廻を踏みにじる。これで完璧だ。過去はもう死んだ。では、未来は?
「ミクリオ、寒くないか?」
「自分の心配だけしてろ」
「そっか」
スレイ、生まれ変われ。そうすれば僕は寒いと言うし、君は寒くないと言えるだろう。同じものを見よう。そうすることがどうやら正解のようだから。
「ミクリオ」
「うん」
「帰りたい」
「任せてくれ」
必ず帰るから。君は僕の傍で笑っていればいい。大丈夫だと手を握れば光があふれ出す。うん、暖かい。これがいつか僕を掴む手だ。これでいいんだ。
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