ふたりの思い、気持ち、考え、心の歩み方がすれ違うたび、寄り添って俯く顔を覗き込み手を伸ばして抱き締めて、大丈夫大丈夫だと語り掛けてきた。でも、間にできた小さな歪みは元に戻ったと見せかけばかりで、内ではどんどんどんどんズレていた。
彼だって思う事はあるだろう。でも、自分だけだったのだろうか。彼は何も言わない。なのに、俺が不甲斐無さに立ち止まると彼は何食わぬ顔をして抱きしめてくるんだ。
……そしてまた、……。
誰そ彼

やがてできた溝に、行き場を失った龍が身を投げる。そして龍は自らの鱗でその溝に蓋をした。
ある龍のこと。」

・・・・・・・・・・

慶龍のこころと最近の事。形にはできていないけど、彼は鳳仙花のようになってしまった。
私に触れないで、触れるところがなければいい、だから花を落とそう、
ほんの少しでも以前の当り前を取り戻したくて楔(記憶)を引き抜いた。
でも、あの当たり前だった騒がしい彼はもういない。


ToP
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