19/09/24 00:06 (:花と潮)
嘘だよ寂しかっただけ



泣きながら眠ってしまったらしい顔を拭う。

(出てくのは駄目か)

腰を掴んで放さない手がなんて愛しいことか。
少し固めの髪を撫でてやれば安心したように表情がゆるむ。

職場と家を往復して、出張で家を空けられてしまえば一人きりになってしまうことが何故かいつもより寂しいと思った。

(なんて、言えるわけない)

同じような状況でどうして兄さんは平気なのか聞いたことがあるのだが、自分のところに帰る確信しかないと笑う様に何だか負けた気がしたのは記憶に新しい。

「ん、んぅ…………」

むずかるように額を押し付けるのがどうにも可愛くて、いつもよりも強く抱き締めて眠った。

「ごめんなさい、汐くん」




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「それじゃあお先に失礼します」

図書室の鍵を返し、校舎を出た。
まだちらほらと残る生徒に早く帰りなさいよと言いながらさて今夜は何を作ろうか、冷蔵庫の中を思い出す。

「鈴」
「え?汐くん?お仕事どうしたんです?」
「…………した」
「なんて?」
「早退した!」
「はぁ」

夕闇の中でも色が変わった頬は赤くなっているのだろうか。
まるであの日の美術室のようだ。

「鈴を迎えにいって一緒に帰れば、家に、いてくれるかと、思って………その、うん」
「で、早退したと」
「ん」

馬鹿だなあ、とか。可愛いなあ、とか。
色々思ったのにどうしようもないくらい愛しくて愛しくて。

「汐くん私のこと大好きすぎますよね」
「うううううるさいっ」
「今日は汐くんの好きなものしか作らない晩御飯にします」
「えっ!?」
「ほらっ、買い物して帰りますよ」

強引に腕をくんで歩き出す。
次は絶対私からは離さない。





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「い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!すずもがっこういくのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「鈴はまだ幼稚園だから駄目だ。ほら離しなさい」
「いやぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!はげぇぇぇぇぇぇえええええぁぁぁぁぁあああ!!!!」
「ゆ゛う゛ぐん゛どい゛ぐの゛お゛お゛お゛お゛お゛」
「汐モテモテじゃん………(ドン引き)」
「ぼくは潮と一緒に学校行けてよかったー!」
「はな゛ぢゃ゛ん゛ぎら゛いぃぃぃぃ!!!!」
「えっ、えっと、えっと、早く帰るから!一緒におやつ食べよう!ね?幼稚園行こう?」





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