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青森県の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が、7〜9月にも使用済み核燃料の搬入を始める。国の原子力政策の柱である「核燃料サイクル」の一環を担う中間貯蔵施設で国内初の事業開始となる。原発の再稼働が進めば、使用済み核燃料も増えるため、中間貯蔵施設の稼働は国の原子力政策にとっても追い風だ。政府も核燃サイクルを回すため、支援に本腰を入れる。
柏崎刈羽の再稼働見据え
平成23年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故後、停止していた原発の再稼働が進む際に避けて通れない課題が、使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設の確保や、再び燃料とするための処理を行う再処理工場の稼働だ。
原子力規制委員会の審査に合格済みの東電柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた動きが進む一方で、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成と早期稼働は見通せない。このため再処理工場への使用済み燃料の直接搬送は行えず、中間貯蔵施設の重要性が増している。
柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働後、使用済み燃料の保管場所がなければ、稼働停止に追い込まれかねない。そうした中、使用済み燃料最大5千トンを最長50年にわたって貯蔵する計画があるRFSの中間貯蔵施設の存在は大きい。柏崎刈羽原発が将来にわたり、安定操業をするためには、不可欠といえる。
貯蔵量の8割が埋まる
大手電力各社で構成される電気事業連合会などによると、国内の原発の敷地内などで一時保管されている使用済み燃料は令和5年12月末で計1万9618トン。管理可能な容量とされる2万4430トンの約8割程度に上っている。
再稼働済みの関西、四国、九州の各電力の原発では敷地内で一時的に保管されている使用済み核燃料が増えつつある。
ただ、東電と日本原子力発電が出資しているRFSの中間貯蔵施設に搬入できる使用済み燃料は両社のものに限られている。2年末に電事連が電力各社での共同利用案を表明した際には地元が猛反発。その後、具体的な進展はみられていない。
電事連は、核燃料サイクルの本格稼働に向け、中間貯蔵施設のさらなる確保や6年度上期を目標とする再処理工場の完成や早期稼働への支援などに全力をあげる構えだ。
中間貯蔵施設を巡っては、中国電力が昨年8月、関西電力と共同で山口県上関町での設置検討を表明。同町の受け入れ表明を受け、調査を進めている。
政府としても「核燃料サイクルの早期確立に向け、事業者とともに前面に立ち、主体的に対応する」(斎藤健経済産業相)としている。(永田岳彦)