話題:最近読んだ本
知念実希人さんの『黒猫の小夜曲』を読みました。
単行本を積んでいる間に文庫版が出るという……もうこういう買い方はやめようorz
人間たちの魂を案内する「僕」はひょんなことから猫に姿を変え、地上に降りるはめになった。
なんでも誰かが推薦したらしい。まったく、迷惑な話だ。
高位な霊的存在に戻るため、未練をかかえた地縛霊を探し始めた「僕」。しかし出会うのはひとクセある魂ばかりで……。
収録作
- プロローグ
- 桜の季節の遺言状
- ドッペルゲンガーの研究室
- 呪いのタトゥー
- 魂のペルソナ
- エピローグ
文庫版はこちら
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『優しい死神の飼い方』から続くシリーズ2作目。
横糸となる個人の未練を解消しつつ、縦糸となる大枠の事件を追う流れは前作と同じ。
ただ今作は未練に縛られているのが生身の人間ではなく「魂」という話が多く、ファンタジー色が濃い目に感じました。
章ごとに「残された謎」や「今までの事件との繋がり」の説明が入るのは分かりやすいですが、まだるっこしかったりミスリードが強引すぎる場面があったのはちょっと残念。
前作のテーマが「死を目前にして自分や過去と向き合う」だとすると今作は「もう会えない人と向き合う」。
先に進む、行くべき場所へ行く。そのためにどう動くか。
割り切れない幕引きは円満ハッピーエンドではないかもしれないけれど、当人たちが向き合った結果ならいいのかな、と。
特に好きなのは『ドッペルゲンガーの研究室』。千崎みたいな執念深い刑事好きです。
物語における「猫」の強みを再確認した1冊でした。どこに現れても不自然じゃないし便利よなあ、猫。
このシリーズは他巻の感想も書いています。
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もし次作があるとすれば今作に登場した「同業者」が主人公になるんでしょうか。
猫と相性が悪いワイルド系というと野鳥……は昨今色々厳しいからヨウムとかフクロウ?ハリスホークもかっこいい。
好物が生肉になりそうなのと飼育許可関連がネックですが、戦闘もこなせる大きいのがいいなー。
可愛い小動物の中身がアレというのもそれはそれで面白そう。笑